藤が丘 都市景観

  •   11, 2017 09:13
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藤が丘は名古屋市名東区に位置しており、地下鉄東山線の東端、東部丘陵線(リニモ)の西端のターミナル駅として機能しているほか、駅を中心とした商業地が形成されています。
藤が丘の商業地を形成する2つの商業核が「藤が丘effe」と「藤が丘中央商店街」となっており、周囲には藤ヶ丘団地や市営藤ヶ丘荘と高密度な住居が並び、徒歩と公共交通機関で生活が完結可能なまちとなっています。

ちなみに1969年に地下鉄東山線が藤が丘まで延伸し、名古屋市藤森東部土地区画整理事業として行われていた土地区画整理事業が1970年に完了し、今の商業地形成の元となりました。




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◆参考資料、引用元
名古屋市都市計画マスタープラン
【まちなみデザイン20選(第3回)】藤が丘駅周辺の桜並木
藤が丘中央商店街振興組合





◆藤が丘 都市景観point
・電車が到着するたびに大勢の人の波が押し寄せ、乗り換え客の人の流れができる
・インターロッキング舗装の街路樹が殆どない広場空間
・賑わいある駅前の商店街と駅出入り口を結ぶ横断歩道
・パーク&ライドとして利用可能な駐車場を持つ都市型商業施設
・学生の通学ラッシュ行列を捌くための広場
・丸みを帯びたガラス張りアーケード
・狭めな歩道と広めの車道、D/Hは1程度
・20m四方程度の小さめの広場
・木々の緑ある抜けの空間
・バスターミナルと駅前高層マンション
・外壁面に張り付けられた絵や模様による遊び心ある外観デザイン
・暗色系の背景と明色系の鳥から、実際以上に鳥が手前側へ飛び出た印象
・成長した街路樹とまちの成熟
・高架下店舗
・住戸への視線を遮り、プライバシーを守る街路樹
・モータリゼーションを予想して造られた広めの街路
・まちづくりに対する熱い思いや行動力





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藤が丘の中心、地下鉄東山線藤が丘駅とリニモ(東部丘陵線)藤が丘駅です。
1969年4月1日に当時星ヶ丘まで来ていた地下鉄東山線を延伸という形で今の藤が丘駅は開業しました。
開業当初は藤ヶ丘という表記でしたが、2004年に周囲の地名に合わせ、現在の表記に改称、2005年にはリニモ(東部丘陵線)が開業し、乗換駅としての機能も持つようになりました。

平均乗降客数は東山線が約61,356人/日(2016年度)で、リニモが17,153人/日(2015年度)となっており、名古屋東部・郊外都市のターミナル駅という様相で、電車が到着するたびに大勢の人の波が押し寄せます。
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藤が丘effeと東山線藤が丘駅の間にあるリニモス広場です。
藤が丘effeが建つ前、愛・地球博時には藤が丘リニモ広場という名称で、リニモに乗る人のための待機スペース(当時、長蛇の行列が形成されていたため)があり、仮設の屋根も設置されていました。
現在は小さめのステージとベンチが設置されているだけで、インターロッキング舗装の街路樹が殆どないスペースです。
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東山線藤が丘駅を囲うようにしてアーケード付きの藤が丘中央商店街が形成されています。
その藤が丘中央商店街に行くためには駅前の街路にある横断歩道を渡ります。
ここは人の数が車の数よりも多く、人の波が途切れた時に車が走るような状態で、徒歩で生活しやすい空間となっています。
また、駅出入り口の目の前ということもあり、賑わいも感じられます。
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●藤が丘effe
藤が丘駅前にある店舗面積4,680㎡の都市型商業施設です。
1階から2階に商業施設が入居し、3階から6階が立体駐車場となっており、時間貸しパーキングのため、パーク&ライドとしても利用可能な駐車場です。

商業施設のテナントは成城石井やスターバックスコーヒーなどの都会的で上質な店舗から、サイゼリヤなどのリーズナブルな店舗まで揃っており、駅前の商業拠点としての役割を担っています。
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藤が丘エフの北側と南側には名鉄バスのバス停があります。
北側は基幹バスや中部国際空港、愛知医大、菱野団地方面のバス停となっており、南側は愛知学院大学や愛知淑徳大学など大学への学生輸送がメインのバス停となっています。

平日の朝8時過ぎから9時半頃までは学生の通学ラッシュで、隣接するリニモス広場は大学生の行列で完全に埋め尽くされます。
リニモス広場の役割はただの広場というだけでなく、通学時間帯の行列を一般利用者に邪魔をすることなく形成するためにも必要な空間だったのです。
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●藤が丘中央商店街
藤が丘中央商店街は藤が丘駅前のアーケード商店街で、一般店舗のほか、チェーン店などのテナントショップも入っています。
アーケードは丸みを帯びており、上部がガラス張りになっています。
デザイン的には一時代前のものですが、雨の日でも駅から傘を差さずにショッピングができる構造です。

歩道幅は約5mほどでアーケードの屋根幅は約2.5mほどです。
車道を含めた全体の道路幅は18から21m程度、藤が丘effeの高さは21mなので道路幅と建物高さの比率であるD/Hは1程度になります。
歩いていて圧迫感も解放感も感じない比率です。
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藤が丘中央商店街にはアーケード部分から奥へ抜けることのできる小さな広場があります。
その広場にはベンチや樹木などがあり、ホッと一息つける空間となっています。
駅前によくありがちな だだっ広い広場ではなく、20m四方程度の空間で奥には小さめの噴水や木々の緑もあるため落ち着きます。
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藤が丘駅北西側の駅に近い方の広場はモニュメントと一体化したベンチが特徴的です。
このように駅を囲んだ商店街でも木々の緑がある抜けの空間を創ることで、閉塞感をもたらすことなく、都市部においても開放的な空間を生み出すことができます。
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藤が丘バスターミナルと市営藤が丘荘です。
からくり時計のメモリアルタワーや藤棚のある広場で、バスターミナルは市バスなどのバス停留所となっています。

手前側が幅約28mのバスターミナルとなっている代わりに、駅側には12階建て、高さ約47mの高層建築物が建てられています。
建物もそこそこ古く、老朽化してきているので今後、再開発計画が出てくるかもしれません。
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市営藤が丘荘の外壁面の一部にはこのように絵や模様が張り付けられており、遊び心ある外観デザインとなっています。
こちらは鳥が羽ばたく様子を表しており、背景は暗色系の深緑色で鳥は白や黄色など明るい色を用いることにより、実際以上に鳥が手前側へ飛び出た印象を与えます。
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藤が丘駅前交差点です。
歩車分離信号機のある交差点で、駅前のため数多くの人々で行き交います。
スクランブル交差点ではありませんが、歩車分離式なので青になった瞬間、斜めに渡る人も多く、実際の動線を考えると横断歩道のスクランブル化が望まれます。
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藤が丘周辺の街路は区画整理時、都市計画に伴いソメイヨシノが植えられた桜並木があり、春にはさくらまつりも開かれています。
夏でも涼しげな街路空間で、建物の外観も埋もれるくらい緑豊かな街路樹で、桜の成長がまちの成熟を物語っています。

また、歩道からすぐ近い距離に建物があり、建物への出入りが楽にできたり、賑わいを出しやすいといった利点はありますが、このような場合は圧迫感を生みやすい状態です。
しかし街路樹が大きく成長することで視界の大部分は自然の緑で覆われ、圧迫感も軽減されたかのように感じます。
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こちらは藤が丘駅南東側の街路です。
こちらも街路樹が立ち並び、建物の外観の半分以上緑で埋まってしまっている場所もあります。
緑の被らない建物屋上には商業テナントの看板が設置され、かろうじて何の店舗かわかります。
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藤が丘駅から藤ヶ丘団地方面へ地下鉄東山線の高架が続きます。
この区間は地下鉄車庫である名古屋市営地下鉄藤が丘工場へ向かう線路となります。

高架下は駐車場ではなく商業店舗が入り、有効活用されています。
この高架沿いの街路は藤ヶ丘団地や駅から10~15分ほど歩いたところにあるセントアースやセントハート、パークスクエアなどの大規模マンションから駅への動線にもなっており、朝夕は人の流れがあります。
そうした人の流れがあるため、駐車場の無い店舗が建っています。
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1970年から建設された全456戸の公団(現:UR) 藤ヶ丘団地です。
ここも沿道の街路樹が成長し、住戸への視線を遮り、プライバシーを守る役割を果たしています。
建物低層階に商業施設の入った棟があり、開発当初にモータリゼーションを予想して幅員約8mと幅員を広めにとった街路などがある先見性ある団地です。
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最後に藤が丘駅前に設置されている地下鉄開通前後の藤が丘周辺の眺めです。
開発当時は何もなく、区画整理時には区画整理前にこの地で行われていた農業を続けることができる案と、すべてを宅地として造成する案の二つが考えられてましたが「当時の人々は、どうしたら生活が豊かになるか、素朴に考えた」結果、後者の宅地化案が選択されたという話が「ふれあいと緑の名東区(7ページ)」という書籍に載っています。

また、当時、藤森東部土地区画整理組合長だった柴田正司氏が車庫用地や駅前広場などを市に無償提供するという大胆な決断を行ったようです。
当時の250人近い他の地主は納得せず、酔って柳刃包丁を振りかざしてきた組合員もおり、大阪の千里ニュータウンまで皆を連れて行き、「電車が来れば便利になるし、土地の値段も高くなるから」と説得したうえで、そして深夜まで承諾のハンコを求めて地元を走り回ったという逸話も残されています。

(引用元:名東史跡案内 藤が丘駅界隈 「先見果断の雄」 柴田正司氏胸像

このように目先の利益にとらわれず、どうしたら地域が発展するのか深く考え、また、まちづくりに対する熱い思いや行動力から今の藤が丘の繁栄があるものと思います。
今後のまちづくりでも、こうした考え方や気持ちを参考にしていきたいですね。
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整理番号 都市景観 No.14 藤が丘 都市景観
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4 Comment

天白区の人  

No title

地下鉄路線については、藤が丘の案のほかに、名東区の高針を経由して、日進市の岩崎あたりに車庫を作る案もありました。
未成線(計画どまりになった路線)として東部線というのあるんですが、まさに後者の案の通りになっています。
現在は、市バスの超黒字路線(星ヶ丘~梅森荘)や、名鉄バスの都市間高速バス(名鉄バスセンター~牧の原~愛知学院大学)が走っています。

2017/08/11 (Fri) 22:11 | EDIT | REPLY |   

きりぼう  

Re: No title

コメントありがとうございます。
地下鉄東部線…この路線の必要性について記事としてまとめようと現在、資料収集を行っています。

日進市の岩崎町と言えば愛知学院大学ですね。
周辺には愛学のほかに淑徳、外語、学芸大があり、毎日通っていることからこの辺のバス事情が悲惨な状況であることも把握しています。
平日の朝は行列が長蛇で平均的に3-6本見送ります。

2017/08/11 (Fri) 22:31 | EDIT | REPLY |   

おろろN  

No title

県や市には市営藤が丘荘の建て替えが現実になるならリニモの乗り入れも考えていただきたいものです。すなわち地下鉄工場敷地内より地上に出し、地下鉄引込線を挟みこむようにして藤が丘駅に至り(東行線は地下鉄の留置線(将来延伸線?)を乗り越す必要あり)、地下鉄と同一ホームで水平乗換えが行える様に改良する事です。さすればリニモの利便性が格段に上昇します。リニモと地下鉄では輸送力が違いますので地下鉄→リニモ乗換えホームには大きめの滞留スペース必要となりますが藤が丘荘の建て替えと共にスペースを確保すれば可能と思われます。あと引上げ線を駅南の地下鉄本線上に設置したり、リニモ東行線が地下鉄北側留置線を乗越す必要が有りますが、リニモは勾配に強く、また地下鉄は車体限界がもともと小さいうえに第三軌条集電方式で上に架線が無いため高さはそれほど必要なく案外楽かもしれません。

2017/08/14 (Mon) 23:03 | EDIT | REPLY |   

きりぼう  

Re: No title

リニモの水平乗り換えは自分としても実現できたら良いなとよく思っていました。
やはり縦方向の移動になると、高齢者や子供連れには負担になりますし、そもそもの利便性が低下してしまいます。
再開発などで東山線を地下へ移転するか、リニモを高架にして同一ホームでの乗り換えが実現できると良いですね。

2017/08/15 (Tue) 11:30 | EDIT | REPLY |   

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